競売と任意売却はその性質により、メリット・デメリットがあります。皆様が不安に感じている点について、任意売却のメリット等について下記にご説明いたします。
任意売却のメリット
- 市場価格に近い金額で売却ができる。
一般に競売では競売専門会社が転売目的のため安い価格で落札するため、市場価格の2~3割ほど安い価格で処分されることとなり、借入金の残債が多く残ります。任意売却では、通常の不動産売却と同様に、所有者・買主が話し合いにより納得して売却するため、競売での強制的な処分より高値で売却が可能です。
- 近隣に事情を秘密にできる。
競売になると、新聞や情報誌、インターネット等で公開され、室内の写真や、管理費の滞納状況などいろいろな個人情報が人目にさらされます。又、競売で入札する人々が、物件情報収集のため近隣に聞き込み等の調査をします。お子様への影響も心配です。任意売却は、あくまでも一般の売却と同じ方法です。よって、滞納状況や、個人情報が外部に漏れる心配はありません。
- 残った借金について柔軟な返済処理ができる。
残った借金は任意売却が終わっても返済しなければなりません。しかし、担保の抵当権はすでにありません。また債権者は、債務者には今後多くを支払い続ける資力がないことも承知です。債務者の収入を考えてくれて、生活に支障が起きない返済額を認めてくれる可能性が高いのです。したがって、通常、給与等の差押えは通常は行わず、月々5,000円~30,000円の無理のない返済になる場合が多いです。
- 競売開始後も任意売却に切り替えることができる。
裁判所から「競売開始決定通知」が届いても、任意売却をすることができます。但し、全ての債権者が応じる訳ではありません。通常、競売開始決定通知が届いてから4ヶ月位で入札が始まります。更に債権者は、買い手が見つかり契約が完了するまで競売の取り下げをしてくれません。競売の手続きと並行して任意売却をしますので時間切れになってしまう場合があります。裁判所から「競売開始決定通知」が届いたなら早急な対応が必要です。
- 費用負担が少ない。
任意売却の場合、ご依頼者に物件売却のための費用をご用意していただく必要はありません。販売の経費は、予め債権者と交渉して決めた配分案に基づいて、売却代金の中から支払われます。
その中には、不動産会社への仲介手数料、マンションの場合は滞納管理費や修繕積立金、抵当権の抹消費用などが含まれています。
ご依頼者にお願いするのは、売却に必要な印鑑証明などの身分証明書の取得や、書類の送料などのご負担です。
- 引越し費用等を手当てしてもらえることがある。
売却後の引越し費用は、債権者によって一定額(10万円~30万円)認めてくれる場合や、一切認めてくれない場合など様々です。住宅金融支援機構(旧、住宅金融公庫)は2007年5月以降、ご本人が破産する場合のみ一定額を認め、その他は一切認めてくれません。民間金融機関も認めない傾向が強くなっています。
当社は、債権者に根気良く様々な提案をしたり、又、購入者に一部負担をお願いしたり、ご依頼者がスムーズに引越しができるよう対応しています。
任意売却のデメリット
- ブラックリストに載る。
通常、住宅ローン滞納3ヵ月でブラックリストに載ります。
但し、任意売却をするのでブラックリストに載るのではなく、ローン支払いを滞納した結果ブラックリストになります。当然、競売でもブラックリストとなります。
競売のデメリット
- 相場よりも安い価格で売却されてしまう。
競売の場合、内部を見ることができない、不動産業者が物件仕入れの為入札することが多いため、市場価格の2割から4割安くなることが多く、そのため残債務も多くなってしまいます。
- 近隣に競売になったことが知られてしまう。
新聞・住宅情報誌・インターネット・裁判所などで物件が公開され、内部の写真や、管理費の滞納額など個人情報が知れわたります。
- 引越し代はもらえない。
競売によって売却された代金はすべて担保権者への返済にあてられるため、その中から引越し代などの立ち退き費用を都合してもらえることはありません。裁判所からの強制的な退去命令もあります。
- 残った借金に関し柔軟に対応してもらえない。
市場よりも大幅に低い価格で売却されてしまう為、任意売却での処分より、より多く債務が残ってしまいます。債権者からは基本的に残債務の一括返済を迫られます。知識のない方の交渉では、債務者側に柔軟に対応してもらうことは困難な場合がほとんどです。